♭が2つも付くキーより、♯が1つ付くだけのキーの方がなぜ難しい?
こんにちは!
今年もFIHハーモニカコンテストの時期がやってきましたね!
ハーモニカ奏者以外の方にご説明させてもらうと、
通称FIHとは、モリダイラ楽器さんが主催する、事実上日本最大のハーモニカの大会です!
複音ハーモニカや10ホールズ(ブルースハープ)、そしてクロマチックハーモニカ、
それらがジャズ・ポップス、クラシック、デュエット、大編成など、様々な部門に分かれて、
毎年、日本一の奏者を決める祭典です!
熱心な生徒の皆さんはこの大会に出場することを最終目標に日夜練習に励まれており、
実際、これまで徳永ハーモニカ教室からは数えきれない総合グランプリ・部門優勝者・入賞者がいらっしゃいます。
今年も見事予選を通過された沢山の徳永門下生さんが決勝戦に出場されますので、
ぜひハーモニカにご興味のある方は当日会場まで応援・観戦に行きましょう!
ちなみに僕は父が審査員をしていることなど様々な諸事情から不参加で、客席から皆さんの応援に専念です!
ぜひ徳永教室からグランプリや部門優勝者が出てほしいですね!
頑張ってください!
それではタイトルの件ですが、
「♭が2つも付くキーより、♯が1つ付くだけのキーの方がなぜ難しい?」についです!
よく、「次の練習する曲はどれにしようかな・・・」と悩まれている生徒さんが、
「この曲吹きたいけど、キーが♭2つも付いてるし難しいかな、、、」と躊躇われます。
「♭が付くキーより、♯が付くキーの方が譜面が読みやすい」などというご意見もお聞きしたことがあります。
クロマチックハーモニカの特性上、♭の音を吹くときには
例)シ♭→⑦+レバーを押す
ミ♭→⑤+レバーを押す
としないといけないので、それぞれ穴番号的には「ラ♯、レ♯」で吹いていることになります。
なので譜面の直観的な読みやすさで言えば、最初から♯の方が読みやすいそのお気持ちも分かります。
が!
クロマチックハーモニカは絶対に、
「♯が付くキー(G、D、A、Eなど)の方が難しい!」、
「♭が付くキー(F、B♭など)は実はやってみると簡単!」
です!
これはさらに言えば、
「なんなら♯も♭も何もつかないキー(C)よりも、♭が二つ(B♭)のキーの方がむしろ楽かも!」
くらいにもなってきます。
なぜかと言うと、例えば♭が2つのキー(B♭)と、♯が2つのキー(D)で比較してみると分かりやすいですが、
B♭でドレミ、ファソラシと演奏する場合、吹き吸いや穴の内訳は、
「5・⑤・⑤、⑥・7・⑦・⑦」になりますよね?(数字は穴番号、○は吸い音、下線部はレバーを押した状態です。)
なんと「ドレミ」「ソラシ」の部分は、音を3音奏でるにも関わらず、穴移動もしなくていいし、
特に「レ→ミ♭」や「ラ→シ♭」はなんと吸いながらレバーを押すだけです!
これはやってみると分かりますが、めちゃくちゃ楽です。
なぜならレバー操作の際に吹き吸いや穴移動が伴わず、「ズレる心配がない=音が混ざらない」からです!
ハーモニカをお持ちの方は吹いてみて下さい!
これがもしキーがDになるとドレミ、ファソラシを演奏する場合、
「5・⑤・6、⑥・7・⑦・⑧」となります!
ぱっと見ただけでも先ほど不要だった穴移動がドシドシ必要となってしまっていますし、
例えば「ド♯→レ」はたった1音移動するだけのために、
「吹きと吸いを切り替え」「レバーを押す、離す」を同時に行い、
「ファ♯→ソ」に至ってはさらに「穴移動」も加えた3つの動作を完璧に行わないといけません。
3つの動作のどれかのタイミングが少しずれるだけで、間違った音が鳴ってしまうという難所なのです!
これらの難所が曲のフレーズの中で、
「ただ吹いているだけで当たり前の様な顔でどんどん出てくる」という恐怖。
それが♯系のキーがクロマチックハーモニカで難しいと言われる由縁です!
何となく意味は分かっていただけましたでしょうか?
その意味で先ほど申し上げた、
「なんなら♯も♭も何もつかないキー(C)よりも、♭が二つ(B♭)のキーの方がむしろ楽かも!」
という真意を分かっていただけるかと思います。
吹いてみるとドレミファソラシドの穴移動がCのキーよりもむしろ楽になっていることが分かります。
ただそこに譜面の読みやすさなども加味されると、やっぱりハ長調が一番気楽になったりすると思いますが、
選曲の際に「♯が付く系のキー」か「♭が付く系のキー」か、選択肢があった場合は今回の話を覚えておいてください!
少し気楽になると思います!
それでは、今日の曲は「♭が1つ」という凄く吹きやすいキーながら、
アレンジが恐ろしく難しいので久しぶりに練習も苦戦した曲。
Ray Charlesが歌った事でも有名な、ジャズのスタンダードにもなっている、
「Georgia On My Mind」です!
僕がやっているTwitterの方で「Jazzの曲も聴いてみたい」という嬉しいコメントをいただいたのでやってみました!
と言ってもRay Charlesのイメージで吹いていると、むしろブルースやソウルに近いですが・・・。
ただ、こういったブルージーに吹ける曲はグロー奏法が多用出来て、大好きです。
音データの編集の際に音量を上げすぎて、音が割れてしまっている点と、
なんか冒頭めっちゃキョロキョロしてる点は、ご愛嬌ということにしていただいて。
それでは「Georgia On My Mind」です!