【菊地成孔】という奇才の、グルーヴする文体と人生!
こんにちは!
今月、6月16日(金)はついに徳永親子、正式な東京初進出コンサートです!
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徳永延生&徳永有生 親子コンサート in 東京目黒
・日時
⇒2017年6月16日(金)
開場:18時 開演:19時
・会場
⇒めぐろパーシモンホール(小ホール)
東京都目黒区八雲1-1-1 めぐろ区民キャンパス内
最寄り駅 東急東横線 都立大学駅より徒歩7分
(駐車場には限りがありますので、なるべく公共交通機関をご利用ください)
・入場料
⇒2,999円(前売り2,500円)
・予約
⇒当日券もございますが、席に限りがありますので、なるべく前売り券をお求めください。
・詳細
⇒徳永親子、待望の、初東京進出ライブです!関西を代表するジャズピアニストの多田恵美子さんをバックに、東京代表スペシャルゲストとしてクロマチックハーモニカの山下伶さんもお呼びしています。ソロ・デュオ・トリオの様々なスタイルで、ドラマチックな音楽の世界をお楽しみください!
・問い合わせ
⇒06-6934-7266(徳永ハーモニカ教室)
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東京で大きなコンサートをすること自体が本当に珍しく、
その上、豪華ゲストを交えて、
ソロ、デュオ、トリオなどで「クロマチックハーモニカ」の驚きの音色をお届けします!
どうぞよろしくお願い致します!
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それでは、本日の1ポイントレッスンですが、
今日は「文章がグルーヴしている音楽関連本」についてです!
※グルーヴ=形容詞はグルーヴィー(groovy)。 ... 語源は(アナログ)レコード盤の音楽を記録した溝を指す言葉で、波、うねりの感じからジャズ、レゲエ、ソウルなどブラックミュージックの音楽・演奏を表現する言葉に転じた言葉である。 (Wikipedeia)
というわけなので今日は音楽的、ハーモニカ的なレッスンというより、
単に「この本、面白かったよ」という話です。たまには休憩です。
僕は大阪出身なので、
小学校の授業中とかに、窓から数年ぶりの雪が見えたりすると、
先生も「よーし、今日はもう勉強やめや!」となって近くの公園に行ったりしましたが、
ああいうイメージです。息抜きです。
というか、今後はハーモニカの奏法をメインとしながらも、
広い意味で「音楽関係の話なら何でも」というテーマで、
このブログを更新していきたいと思います!
何より僕がそういうブログを読むのが好きなので。(ネタ切れとはちゃうで!)
面白い本はめっちゃあるのですが、とりあえず今日は1冊だけ。
というのも3冊分くらい書く予定だったのですが、
1冊目への僕の愛が深すぎて、残りの分のスペースが無くなりました。無念。
勉強になるかはさておき、
ジャズとその音楽理論をとても詳しくテーマにしていて、
書いている本人の音楽愛が伝わってきて楽しそうで、
「文章がグルーヴしてるな!」という楽しい本を1冊。
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●「憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史」 著 菊地成孔+大谷能生
上巻 「調律、調性および旋律・和声」 ⇒Amazaomリンク
下巻 「旋律・和声および律動」 ⇒Amazonリンク
という事でいきなり長すぎるタイトル。オススメ、第1回からアクが強い。
メインの著者である菊地成孔さんをご存知の方ならお分かりかと思いますが、
この人は相当に個性的です。好き嫌いがハッキリと分かれるでしょう。
本人も常に自虐的に言っていますが、
精神的な面で少し問題があって(神経症?)、通院しながらの講義、だそうです。
語弊があるかもしれませんが、
この人の文体は、その結果漂う危ない浮遊感に、とても味があります。
(この本は講義録なので比較的読みやすいですが、エッセイとかはとんでもない空気です。)
そして文筆家の前に、バリバリの現代ジャズミュージシャンです。
めちゃくちゃ色んなアーティスト名義で活動されています。
「菊地成孔ダブ・セクステット」
「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」
「SPANK HAPPY」
「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」
「JAZZ DOMMUNISTERS」
しかもその度にいろんな音楽性を提示して、あっちこっち行きます。
その内の1つですが、ルパン3世のスピンオフシリーズ、
アニメ「峰不二子という女」のOPテーマを担当されていますがこんな感じ。
なんという妖しげで不穏な空気。大人から見た、峰不二子のダークな部分の表現。
怖くて格好良いです。
そんな現役バリバリのミュージシャンでありながら、音楽だけじゃなく、
映画など色んな文化への知識量は尋常ならざるモノがあります。
何より圧巻の語彙力。それを情け容赦なくひけらかす様な話し方と文体。
いや、ひけらかしていないし、むしろ自然と出てきてるのが凄いんですが、
お洒落ワードが出てき過ぎて、おそらく最初は鼻につきます。
例えば、
この本は実際に著者二人が映画美学校で行った講義をまとめたものなのでマシですが、
語彙としていつも当たり前のように、
「ミスティフィカシオンされた~プリミティブなドグマが~、ペダンチックでアカデミズムで~、ポストコロニアリズムの~、リコンストラクションなんですねー(笑)」
ぜんぜん何言ってるか分からん。
みたいなことを言われて煙に巻かれます。ボケが高尚すぎる。
ちなみに「ミスティフィカシオン」はそれこそ「煙に巻く」という意味です。
が、気づいたら巻き込まれていきます。
分からない横文字の単語をいちいち調べるので中々進まないのですが、
でもページをめくる手が止まらない。
これがもう「文章のグルーヴ感」じゃないかしらと。
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ちなみに(?)、本の内容は、
ジャズにとってのコード進行やそれらの成り立ちや分析、
またはリズムの話について、凄く「アカデミック(学究的)」にちゃんと教えてくれます。
しかも講義録なので会話形式でテンポも良く、
適度に脱線してくれるので読み物としても飽きないです。
上巻ではシンプルに「長調と短調の違いはこうだよー」とか、
「ドミナント進行っていうのはこういう意味なんだよー」とか、
実際に講義ではそれらを鍵盤まで弾きながら丁寧に、
「バークリー音楽大で教えている事を簡単に要約するよー」ってスタンス。
ジャズと言えば、バークリーと言えばジャズです。
から、下巻に向かって徐々に難しくなり、
「コーダルとは?モーダルとは?」「ポリリズムとは?」というものを、
すごく理論的に、学術的に講義していただけます。これが普通に面白い。
が、身に付けるには少しレベルが高いかと思いますので、
それこそ俯瞰で「ああ、音楽とはこんな感じの世界なんだなあ」と読む分には良いですが、
初心者の方が音楽理論をしっかり学ぼうとして読むには難しいかなと思います。
なので、これは「菊地成孔」という人間と文体を楽しめる人にオススメです!
ちなみにこの「憂鬱と官能を~」は映画美学校での講義でしたが、
他にも「東京大学のアルバート・アイラー」という本では、
なんと東大の授業でジャズを教えており、
この人は本当にすごい人なんやなと再確認します。とても面白いです。
というか、ここまで読んでいただいた方だけへの衝撃のお知らせですが、、、
タイトルが「憂鬱と官能を~」の方が菊地さんらしい秀逸な文学性なので選びましたが、
内容は僕としては「東京大学のアルバート・アイラー」の方が好きかもしれません。
「憂鬱と官能を~」よりも後に書かれたこともあって、
分かりやすいし、文章も内容も整っているし、さらに菊地節が濃いです。
「東京大学のアルバート・アイラー」の方では、
あとがきの大谷さん曰く「菊地さんの神経症が一番酷い時期だった」そうで、
講義中にタバコを吸いに行ってすぐ授業中断したり、
脱線が盛り上がりすぎて講義が進まなかったり、奇抜な試験が行われたり、
というリアルな進行が見られます。濃厚です。ドロドロです。
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そしてこれらの本を出版した後、
菊地さんは50歳も過ぎた辺りから、
自身の子供にあたる様な年齢の集まりである「SIMI LAB(シミラボ)」という、
ストリート感の強い、恐い系ヒップホップグループと仲良くし始めて、
菊池さん・大谷さんも「JAZZ DOMMUNISTERS」の名義で、
ラップをしてSIMI LABメンバーと共に曲を出しています。
それだけでも凄い破天荒だったのですが、
菊地さんはヒップホップな勢いそのまま、
いきなりタトゥーを入れたりしています。
先日これがニュースになっていてちょっと笑いました。
とても面白い人です。
いや、でも本当に真面目にですが、
人間だれしも、大御所になればなるほど、そして年齢を重ねるほど、
「自分より若い世代の文化」を認められなくなるのが普通だと思うのです。
それは諸説ありますが、
「自分の青春時代の文化が消されていく事が嫌で、新しい文化の台頭を認められない」
とか、
「新しい情報や知識を学び続けるのはとても体力の要ることだから、
徐々にその行為に着いて行けなくなり、
ある時点から、新しい情報や知識を否定する方法で自身を守る」
などと耳の痛い考察がされたりしています。痛烈。痛え。
僕も、自分より若い子たちの音楽や文化に徐々に着いて行けなくなり、
「今よりも昔のゲームの方が面白かった」
「最近のはなんか、こんなんもう音楽ちゃうわ」
と気付いたら、「自分に理解できない物をのっけから否定」しそうになります。
こうなった時に僕は、なんとか踏ん張り、
「これでは時代に追い付けていない自分を認めていることになる」とハッと気づき、
知りもしないのに聴かず嫌いなどをするのではなく、
それがAKBでもEXILEでも何でも聴いてみて、
その上で判断するように心がけています。
そうしたら「あ、良いやん」と結構なります。
「さすがにこれは無理・・」と聴けない場合や、聴いた上で理解できなかった場合でも、
それは「自分の好みではないだけ」と思えます。
文化に貴賤も優劣もないので、ジャズの方がヒップホップより偉いとかは無いのです。
それを最も体現できている1人が、菊地成孔さんだなあと。
大御所ジャズミュージシャンで、
様々なジャンルに精通した大人気の作家で、
東大でジャズや音楽理論について講義をするような知識人が、
50歳を過ぎて、
ダボダボの服を着て、キャップを斜めに被って、ラップして
あまつさえタトゥーまで入れるんです。真剣にです。
「ヒップホップっていうのはジャズの孫だからね。好きなんだよ。」と。
なんという柔軟。スポンジです。柔軟さが。
周囲からの好き嫌いや、良い悪いはともかく、
フレッシュで、死ぬまで楽しめそうな価値観だなあと、尊敬します。
そんな格好良くて、とても変人で、何を言っているか結構わからない、
菊地成孔さんと大谷能生さんの、
「憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史」
ならびに、
「東京大学のアルバート・アイラー」
オススメです!
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それでは長くなりましたが、本日の曲です!
これは先日の国際楽器社での親子ライブで、
父とデュオで演奏した曲なのですが、
とても格好良かったので久しぶりに1人で2人分吹いてみました!
槇原敬之さんの「Hungry Spider」です!
曲自体がめっちゃ格好良いのですが、
クロマチックハーモニカにも何故か良く合う、
オススメの1曲です!
物語的に進む歌詞も良いですし、ぜひ原曲の方も聴いていただきたいのですが、
どうやらYoutubeにはUPされていないようです。。。
要するに「蜘蛛目線での、蝶へのラブソング」です。
というわけで今日は僕の演奏の方で勘弁していただくとして、
槇原敬之さんの「Hungry Spider」です、どうぞ!